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第142号(平成23年1月1日号)

特    集
「第5次神戸市基本計画 新たな神戸づくり」

昨年は、明治28年(1895年)に、居留地に住んでいた英国人貿易商A.Hグルームが、六甲山を開山して115周年になる。
かつて、アメリカの有名な社会学者ダニエル・ベルは、「アーバンリゾート国際会議・神戸'93」への出席で神戸を訪れた際、「神戸は、人が風景に取り入れたいと願う海と山の二つの要素を備えたすばらしいまちである。」と指摘した。

市街地のごく近接した場所にあり、市民登山に代表されるような非常に親しまれている六甲山のような存在は、他の都市には見あたらない。まさに、六甲山は、港とともに神戸の象徴であり、神戸に無くてはならない存在感を示している。これまで、この六甲山を、守り、市民の癒しや憩の場として生かそうという様々な取り組みが行われてきた。明治35年(1902年)に、大規模な植林が始まり100年以上が経過した。この間の緑化の取り組みが、かけがえのない緑の財産を築いてきた。また、昭和13年(1938年)の阪神大水害を契機として、六甲山系の砂防事業や表六甲の河川改修は、国の直轄事業として行われるようになった。次いで、昭和36年(1961年)に発生した集中豪雨では、宅地造成現場や傾斜地での被害が大きく、宅地造成等規制法制定のきっかけとなった。
その後、植林100周年からは、ボランティア約300人の力で「こうべ森の学校」を開き、森の手入れや間伐を行うようになった。さらに、六甲・有馬観光群は、昭和32年(1956年)に瀬戸内海国立公園に指定されて以降、神戸市の主要な観光エリアとして発展してきた。
その一方で、六甲山系は、縦割り体制で管理されてきた。六甲山系の土地の所有関係を見ると、約11,000haの内訳は、民有林が約7,500ha、市有林2,300ha、国有林100ha等となっている。このように、公有地が少ないということもあって、六甲山系を総合的に管理・運営する体制が整っていない。

本号では、開山115周年を契機に、六甲山で展開されてきたこれまでの取り組みを振り返り、六甲山をみんなの山にする工夫を考える上での参考とするため、様々な角度から考察する。

論文「都市山(としやま)六甲山の特色」では、六甲山の自然と他の地域の自然とを比較し六甲山の特色を論じていただいた。次に、「六甲山の砂防事業」では、六甲山系を対象として、土砂流出とそれを克服するために行われた砂防事業や植林活動による災害防止について考察いただいた。さらに、「市民と企業、協働の森づくり」と「市民による六甲山の活性化活動」では、市民団体による六甲山の森づくりや活性化の取り組みについて、また、「六甲山森林整備戦略の展開に向けて」、「六甲山の観光」では、神戸市による六甲山に係わる分野の取り組みについて、それぞれ紹介いただいた。

目    次

■巻 頭 言

・神戸の象徴としての六甲山の保全とその国家的意義 (財)神戸都市問題研究所
理事長 新野幸次郎

■論   文

・都市山(としやま)六甲山の特色 兵庫県立大学自然・環境科学研究所
教授 服部 保
・六甲山の砂防事業 神戸大学
名誉教授 沖村 孝
・市民と企業、協働の森づくり「こうべ森の学校」歩みと展望 こうべ森の学校
代表 東郷 賢治
・市民による六甲山の活性化活動 NPO法人六甲山と市民のネットワーク
事務局長 江藤 暢英
・六甲山森林整備戦略の展開に向けて 神戸市建設局公園
砂防部長 田中 充
・六甲山の観光
 〜観光資源という視点から六甲山を考える〜
神戸市産業振興局観光コンベンション推進室
主幹 中西 理香子

■関連図書紹介

六甲山緑化100周年記念(六甲山100周年そしてこれからの100年)/地震砂防/生態学から見た
里やまの自然と保護/温暖化と生物多様性

■歴史コラム

・川崎造船所の経営危機と神戸市の救済 関西大学政策創造学部
教授 橋本 行史

■潮  流

関西広域連合/直轄事業負担金廃止法/地方政府基本法構想/環太平洋パートナーシップ協定(TPP)
日本版NVQ/社会貢献型投資/APEC首脳宣言(横浜ビジョン)/薬剤耐性病原体/生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)/社会実験「KOBEまち・ちゃりシャトル」神戸こども初期急病センター/スポーツ立国戦略

■行政資料

・神戸市結核予防計画2014(概要) 神戸市保健福祉局
・神戸市の総合特別区提案(概要) 神戸市企画調整局医療産業都市
構想推進室
神戸市みなと総局技術部

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