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神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第115号

2016年8月1日発行

〜おもしろいか、ありがたいかのいづれかでないと〜

公益財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

皆さんは、今回はおかしな表題だと思われるかもしれません。実は、この6月に、甲南学園を創設された平生釟三郎さんの生誕150周年の記念フォーラムが、甲南大学の甲友会館で開かれました。これはそのとき、副題に掲げられていた言葉の一部です。平生さんは、甲南学園をつくられただけでなく、川崎造船所の社長、文部大臣など数々の仕事をしてこられた方ですから、皆さんの中にもご存知の方も多いと思います。

私はいままでも平生さんのことは本を読んだり、関係者からお聞きしたこともあって、少しは存じあげているつもりでした。しかし、「人間は、おもしろいか、ありがたいかのいづれかでないと寄ってくるものじゃないよ」と仰言ったことは、今回はじめて知りました。ある方の本によると、これは1932年のロータリー大阪クラブでスピーチされた時のお言葉のようです。私は学生時代から、ゼミの宮田喜代蔵先生から孫引きは絶対してはいけないと教えられています。したがって、今度も大阪クラブで実際どういう前後の関係でこの言葉を使われたのかを確かめようと努力してみました。しかし、残念ながら、確認できません。そこで、この話を親しくさせて頂いている甲南学園理事長の吉沢英成先生にしました。吉沢先生ご自身もお忙しいなか、ロータリー大阪クラブの役員だった方から会誌CDを取り寄せて頂いて検討して下さっただけでなく、手許に余備が数冊あるからといってある本を送って下さいました。岩井尊人編著「平生釟三郎述私は斯う思う」がそれです。その「はしがき」に「平生先生より次のようなことを承りました」と述べて、さきに引用した言葉が掲載されていました。吉沢先生は、それをご確認されたうえで、私にその本を送って下さったのです。本当に有難いご配慮です。

ところで、皆さん。このお言葉は、実によく考え抜かれたお言葉ではありませんか。皆さんは、色々な会に参加しておられると思います。会によっては、なかなか会員が集まらないで困っておられるものもあると思います。会の趣旨が立派だと、会員の怠慢や欠格のために出席者が少ないのだといった主張も出てくるのでしょう。そんな時、この言葉は実に考えさせられるご発言です。「おもしろい」という言葉を「広辞苑」を開いてみますと、愉快だとか、おかしいとか、思うとおりで好ましいとかといった説明の他に、目の前が明るくなる感じというのが原義のようです。そんなこともあって心をひかれるさまというのが、「おもしろい」ことの内容といってよいでしょう。

もし、そうだとしたら、どんな会であれ、会員の人達が心をひかれるか、それに参加し出席することがありがたいと思って貰える運営が出来れば、どんなに素晴らしいかが判るでしょう。私たちは、この言葉を素直に受けとめ反芻しなければなりません。