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理事長 新野 幸次郎 巻頭言

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神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第95号
  2014年12月1日発行

 

 〜東日本大震災の復興と大槌町の問題〜

 

公益財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 この11月15日、わが研究所は、神戸市と神戸防災技術者の会との共催をえて、「東日本・神戸復興交流シンポジウム」を開催しました。シンポジウムのパネラーである大船渡市、釜石市、仙台市および大槌町の皆さんには、それぞれ今実行しておられる震災復興の課題と成果について貴重な討議をして頂きました。シンポジウムで討議された重要な諸問題のうち、ここでは、大槌町からのご指摘だけを取りあげてみましょう。
 大槌町では町長さんをはじめ、40名近い職員の皆さんが不幸にも津波で亡くなられたことはよく知られています。にもかかわらず被災後、同町の予算は復興を含めて、被災前の6倍強になりました。プロパー職員はそれよりも多い応援職員の協力を得て予算執行に必死に努めておられるようです。しかし、きびしい勤務条件のなかで、プロパー職員の中には自殺者が出ただけではなく、数名の退職者も出、また精神的な療養を要請されている職員が複数出現するという状況のようです。他方、応援職員は、中短期での交替ということもあって、被災者との難しい折衝などでは、ともすれば障碍も起こりがちのようです。
 こうした問題を解決するためには、復興のあり方とそのテンポについて根本的な検討をするとともに、復興事業の進行について当該被災自治体だけでなく、近隣自治体との協同体制をもつことが必要であるだけでなく、県や国の方でもその苦況を克服するための新しい工夫をすることが望まれます。国の会計検査院も縦割り的に、予算執行の不充分さを指摘するだけでなく、実行可能体制の確立を模索することも望まれます。
 東日本大震災は周知のように阪神・淡路大震災とは違って、極めて広汎な地域を襲った大震災でした。政令指定都市は仙台だけで、都市といっても比較的小都市で、小規模な町村の多い被災地構造になっています。このような場合、国や県は、予算配分だけして、その事業遂行を市町村にまかせるだけでは、復興事業の完成を期することが困難です。執行体制のために新しい工夫が必要です。
 近く起こるとされている西日本大震災の場合も、広域災害になることは明らかです。そのためにも、この問題は今から真剣につめておくことが望まれます。そうだとしたら、今回実現した被災自治体と援助自治体のパートナーシップ体制についても新しい工夫がなされたらと思います。すなわち、これだけはっきりと被災予想がなされるようになるのですから、被災自治体と援助自治体とのパートナ ーシップは兵庫県の最初の防災監 齋藤富雄さんもいわれるように、震災の起こっていない今から決めておき、その進め方について夫々の自治体が相互に話し合い、実演体制を確立しておくことも望まれます。日本の復興体制もこうして前進することが可能になってきたことを自覚しておきたいものです。



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