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理事長 新野 幸次郎 巻頭言

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神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第89号
  2014年6月2日発行

 

 〜水島銕也先生「神格化」の秘密〜

 

公益財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 帝国大学にまだ経済学部がなかった明治36年、経済学・商学の最高学府だった一橋に次ぐ学校として官立神戸高等商業学校(神戸商業大学および神戸大学の前身)の初代校長に水島銕也先生という方が満39歳で就任されました。水島先生はその後22年間、校長として活躍され、在校生・卒業生から心からの尊敬を受けられました。先生が肺炎になられたときなど、実に多くの学生が神社仏閣に参詣して、そのご快癒をお祈りし、お札などを頂いてお家の前に列をなして並んだと言われます。病気のために校長退任を発表された時の在校生・卒業生の激しい反対運動もありました。辞任後、一橋教授時代の卒業生も加わった卒業生による先生のご住居への洋館「淡如閣」の建築、講堂前への胸像の建設、ご逝去後は、大分県中津の水島先生宅の買上げとその公園化及び市への寄附、更に、ご生誕100周年記念事業としての先生についての何冊かの顕彰書の発刊など、数えあげると実に限りがありません。
 その秘密を解く鍵は、同じ中津出身で最近「海賊ととばれた男」として特に有名になられた先生の教え子出光佐三さんの言われるように、その慈父のような学生職員への対応であります。先生は、1学年180名、予科1年、本科3年、計720名の学生の名前を記憶し、卒業までには必ず自宅に呼んでその家庭状況、性格などを把握し、その相談に応じ、就職まで世話をされました。下宿の火災で住むところがなくなった学生二人を暫く自宅で世話されたこともありました。またある卒業生が、身寄りのない友人が発病しその処置について困って先生にご相談したら入院の世話をして頂いただけでなく、彼が逝去したあと墓地・墓石にまでご配慮され、その墓名の文字を揮毫し、裏面に「友人水島銕也建之」と記されて感泣したという記録もあります。こうしたストーリーは、書き並べると他にも色々あって限りがありません。
 最近流行のリーダシップ論のなかに、「リーダーは頭で考えるものではなく、心で感じるものだ」とか、「リーダーは何よりもみんなに信頼される人間でなければならない」といった主張があります。考えてみると、水島先生は学生諸君や教職員を家族の一員のように愛され、それによって当時の教職員や学生諸君から文字通り信頼される人になっておられたのだと思います。
 今、神戸大学では水島先生の生誕150周年記念事業委員会をつくり、この先生のお気持ちをもう一度、神戸大学の全教職員に呼び戻し、神戸大学を21世紀の教育の殿堂にしようとしているところです。私はこの水島先生の神格化の秘密をすべての組織のリーダーの方々が受けとめてくださるよう祈らざるをえません。



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