トップページヘ戻る
KIURロゴ

理事長 新野 幸次郎 巻頭言

「理事長 新野 幸次郎 巻頭言」一覧へ

神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第86号
  2014年3月3日発行

 

 〜サーバント・リーダーシップと自治体〜

 

公益財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 どんな組織も澤山の人々から成っております。企業もその一つで、従来からその運営の在り方をめぐっていわゆるリーダーシップについての色々な議論が展開されてきました。この分野の研究で素晴らしい成果をあげている金井壽宏教授の有名な「リーダーシップ入門(日経文庫,2005年)」をご覧頂いても実に多数の文献が案内されています。
 考えてみるとリーダーシップといえば「おれについてこい」式のトップダウン・リーダーシップと受けとめられがちですが、それとは逆のサーバント・リーダーシップといわれるものがあります。企業は周知のように、顧客の求める商品やサービスを提供できなければなりません。そのためには店頭または現場でそのお客さまと接する人達を上司が完全に支え、その上司を更にその上司になる人々(役員、社長など)が支えて行かねばなりません。いいかえますと、サーバント・リーダーシップを確立するために、店頭、現場が一番大切で、ミドル・マネジャーや企業トップもすべて現場に奉仕するという発想をもち、それを実際に行動に生かしていくことが望まれます。この進め方ですと、トップもサーバントの気持ちでいる訳ですから、ミドルも現場の第一線で顧客と接する人達も含めてサーバント・リーダーシップの連鎖が築かれることになります。
 ところで、企業の場合はその提供する特定のサービスや商品は、それを希求する顧客の要望に応えさえすればよろしいのですが、自治体の提供するサービスやモノはややこしい課題を含むことになります。住民が自治体に要請するサービスやモノは、企業のように必ずしも特定されず、実に多様になっています。しかも、その多様なものの要求の内容が人によって全く対立するものであったりもします。そうした要請に応えるためには伸縮的で弾力的な判断が必要です。それを考える自治体活動におけるサーバント・リーダーシップの確立は決して容易ではありません。住民と接触する第一線の職員はもちろん、その上司でもある区長さんも、本庁の担当局長も市長もその要請に対応できるサーバント・リーダーシップを確立して行かねばなりません。
 リーダーシップの確立の大前提は、信頼されることにあるといわれます。この自治体のサーバント・リーダーを達成しようとすれば全職員が、リーダーシップ・チャレンジの条件、すなわち、正直で、先見性をもち、有能で、何よりも市民から信頼される人間になるよう努めなければなりません。しかし、考えてみると、これは大変なことです。民主社会の自治体職員は、サーバント・リーダーシップを身につけるために企業人以上に身をひきしめて行かねばなりません。



〒651−0083 神戸市中央区浜辺通5丁目1番14号
神戸商工貿易センタービル18F

TEL 078(252)0984

FAX 078(252)0877

KIURバナー
トップページヘ戻る