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理事長 新野 幸次郎 巻頭言

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神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第85号
  2014年2月3日発行

 

 〜野球型とサッカー型の組織づくり〜

 

公益財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 現場主義経営学者を自称される藤本隆宏教授が、産業を2つの型に分けた分析をしておられます。(1)野球型(分業、シンプル化、モジュラー化、標準化を図るアメリカ型)と(2)サッカー型(調整集約的で、擦り合わせ型アーキテクチャの製品を得意とする日本型)がそれで、もともとドラッカー教授の発想によるものです。もっとも、二つの野球チームが、大震災に見舞われ、「頑張ろう神戸」とか、「頑張ろう東北」と団結して優勝したことを考えると、野球といえども分業的に有能な選手を集めればよいというものでもないようです。サッカーと同じように、お互いが協調して仲間を生かすことを考えなければ成功しない面もあります。しかし、組織づくりの原則での2つのスポーツに差があることはドラッカー教授の言う通りです。
 これは都市づくりについてもいえます。都市は、どこでも自然的環境が異なっているだけでなく、経済活動や文化活動などの地域差が大きく、それに応じて市民の欲求の強さや幅に格段の差が生まれています。にも拘らず自治体の財政能力は限られておりますから、地域を異にする全市民の欲求に平等に応える訳にはいきません。
 おまけに、すべての政策の効果は、短期的に生まれるものと中長期を経ないと生まれないものなどと異なっています。したがって、特定の政策についてすべての市民に同じような了解を得ることは極めて難しくなります。自治体に限らずすべての政策策定者は、それを知りながらも政策を決定しなければなりません。
 そこで準備しておかなければならないことは、いかにしてその地域の住民の方々をサッカーチーム型に編成していくかということです。すなわち、完全な一致は難しいとしても、当該市の将来像についてかなりの人々の同意を得るように努めたうえで、そこに到達するための人々の協調の仕組みを工夫していくことです。
 藤本教授は、日本のサッカー型産業は、50年代の労働力不足、70年代80年代の円高、90年代2000年代の新興国の参入とデジタル情報革命などの逆境に抗して立ち上がってきたといわれます。その意味では、大震災からの復旧・復興という大きな逆境に抗して立ち上がろうとしてきた神戸市は、全市民の協力を得てサッカー型都市づくりで全国に範を示す覚悟をしてゆかなければなりません。かつて、神戸市は、市民の協力を得て震災復興はもちろん、消費者問題でも、市民福祉条例でも、全国自治体活動のモデルといわれる成果をあげてきました。その意味では、従来もサッカー型の都市づくりである程度成果をあげてきたといえるでしょう。問題は多く残っていますが、しかし、これからもお互いに努力を重ねてゆきたいものです。



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