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理事長 新野 幸次郎 巻頭言

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神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第79号
  2013年8月1日発行

 

 〜社会改革の意欲とエネルギーの創造条件〜

 

公益財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 私自身も長く関係してきました一般財団法人日本経済研究センターが創立50周年を迎えました。その記念事業の一つとして現在、同センターは「2050年の日本経済」について三つのシナリオを計量的に描き出そうとしています。皆さんご承知のように、経済成長率は、労働人口増加率と労働生産性上昇率を加えたものにほぼ等しいとされています。日本は今後少子高齢化で総人口は減少していきますから、労働人口増加率を高めようとすれば、女性の労働就業率を先進国並みに大幅に増加させると共に、高齢者の就業率を高めることが必要になります。
 他方、もう一つ成長率を高めるためには、何といっても労働生産性を引き上げなければなりません。労働生産性を引き上げるためには、私が先月この欄でもとりあげましたようなイノベーションやリ・インベンションを図らねばなりません。 またそれ以外にも取引費用を高くし企業の参入と発展を制約している色々な規制を緩和ないし廃止し、企業活動を活発化させることが望まれます。日経研センターは、これらのいくつかの要因の改革が、それぞれ今後40年近い間にわが国の経済成長にどの程度貢献することになるかを計量的に示そうとしています。こうした試みは、今迄なされたことのない画期的なものです。
 この分析では、(1)成長・改革シナリオ(2)停滞シナリオおよび(3)破綻シナリオの3つのシナリオが考えられています。1人当り総所得が(1)では8.8万ドルと今の倍以上になり、世界で3番目位の水準になります。そのためには、貿易、投資、金融などの市場開放度を大幅に向上、起業・労働市場などの大規模な改革が必要になります。ところが、(2)は、これまでと同様なゆるやかな改革しかしない場合で、1人当り所得は今より1万ドルほど上昇しますが、2030年頃にはゼロ成長からマイナス成長に、消費税率を25%位に引き上げないと財政規模が維持できなくなり、生活水準は2割程度低下すると予測されています。
 これに対して、痛みを回避し、改革を後退させ保護主義をとり、消費税もあげない(3)の破綻シナリオでは、1人当り所得は現在よりも0.3万ドル程低下して世界的順位も、現在の15位目から29位にまで低下してしまいます(ちなみに、1990年には日本の1人当り所得は世界第2位でした)。
 残念ながらこの分析は極めてユニークですが、まだ完全ではありません。しかし、もし、これが説得的なものになれば、私たちはきっと、(2)はいうまでもなく、出来れば(1)のシナリオ実現をめざして努力しようと決意するに違いありません。
 これは社会改革の意欲とエネルギーをつくり出すために、いま何が必要になっているかを暗示しています。



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