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理事長 新野 幸次郎 巻頭言

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神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第78号
  2013年7月1日発行

 

 〜イノベーションとリ・インベンション〜

 

公益財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 経営戦略論で著名な神戸大学の三品和広教授が、自然科学的な技術革新と受けとめられているイノベーションよりも、リ・インベンションの方が最近大きな役割を果しつつあることを力説して注目されています。リ・インベンションというのは、かつてのイノベーションによって発明ずみの技術を作り直したり、消費者の価値感やその変化に対応してその使い方を新しく工夫することなどを通じてその再発明を図ることを示す言葉です。
 どなたもよくご存知のように、かつてわが国の家電企業、たとえば、ソニーやシャープなどは、イノベーションによって世界のどこにもなかった新製品を創り出し、業界をリードしてきました。ところが、ITの急速な利用を伴なうグローバリゼーションの進行につれて、世界経済の構造は根本的に変りました。いままでは生活困窮に喘いでいた多くのいわゆる途上国が、経済成長に恵まれるようになり、新興国家として急速に発展することになりました。その結果、世界中に今迄とは違った需要構造をもつ消費者群が急速に増大するようになりました。サムソンなどは、こうして生まれた新しい消費者がどんな欲求と価値観をもっているかを真剣に解明し、この新しい消費者の求めに応じた工夫をしてきました。所得水準の高い先進国の経済は概して低迷をしている今日ですから、今迄通りの消費者を対象にしてイノベーション中心に開発を図ろうとした日本の家電企業は遅れをとることにもなりました。
 どんな組織も、その組織の維持、発展を図ろうと思えば、たとえば、F.ヘッセルバイン(彼女はアメリカのガール・スカウトを再建し、有名な経営学者P.ドラッカーも絶賛したソーシャル・セクターのリーダーです。)もいうように、いつもその組織のミッションを想い起し、顧客の要請に応えているかどうかを尋ね、顧客の価値観の変化をチェックして、自らの在り方を根本的に見直していくことが望まれます。
 三品教授も自覚しておられるように、イノベーションという言葉を提起したJ.A.シュンペーターは、もともとイノベーションという言葉を技術的な革新だけでなく、組織の在り方、経営方法なども含めた既存システムの創造的破壊の意味で使おうとしていました。その意味では、リ・インベンションも実はイノベーションの一部でもある訳です。
 ともあれ、社会経済構造の変化の中で、いまあらゆる組織がF.ヘッセルバインのいうような反省に迫られていることは、間違いありません。私たちは、今こそ原点に帰って言葉の真の意味のイノベーションを実現しなければなりません。



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