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理事長 新野 幸次郎 巻頭言

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神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第77号
  2013年6月3日発行

 

 〜相手の面子を尊重し、退路を遮断しないこと〜

 

公益財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 私の助手・講師時代、すなわち、昭和20年代、学会報告者への質問や批判が極めて厳しい著名な先生がおられました。場合によっては、二度と報告の機会をもつことが出来ないほどの批判でした。外国の学会などで、「私はあなたとは違った意見をもっています。私はあなたがとりあげられている問題を次のように考えています」といった形で批評される人があるのとは大変な違いでした。しかし、論理や事実認定の仕方を中心に議論を交わす学会報告の場合、正当な主張または分析であるかどうかが問われるために、その評価の仕方は極めて厳しくなる傾向があるのは、当然のことかもしれません。
 ところが、つい最近、神戸大学に昨年度新設された社会科学系教育研究府の特別教授に就任された明石康元国連事務次長は、外交問題の円滑な処理のためには、「相手国の面子を尊重し、その退路を遮断しないようにする」ことが決定的に重要ですとあるフォーラムで述べられました。国と国との間の折衝などは、それぞれの国の緊迫した国内事情を抱えた切羽詰まった交渉で、下手をすると国内対立だけでなく、国家間の戦争になるかもしれない緊迫した問題になっているものが多いことを考えますと、これは、誠に重要な発言です。多数の国々との連絡調整を図ってこられた明石さんでないと言えないご発言かもしれません。
 私はそれはお聞きしながら、少なくとも大学での人間教育の局面でも、学生諸君がこの発想が出来るよう徹底して鍛えあげなければならないと思いました。人間はそれぞれ独自な環境で育ち、異なった信念や発想をもって生きています。民主主義社会が存続するためには、お互いが違っていることを前提にして、お互いを尊重しながら意見を交えて生きて行くことが必要です。
 私は最初に、学問の世界では、これとは違った言動がとられることもあると言いました。しかし、よく考えてみると、学問の分野でも色々な着想に発するいくつかの学派が存在するように、必ずしも一義的になっている訳ではありません。各学派の人々は、違った学派の人達の意見も十分理解したうえで、その位置づけをしていくことが望ましいと言わねばなりません。その意味では、表題にした明石さんのご発言は、いますべての組織や個人が反芻してみなければならないことです。



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