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理事長 新野 幸次郎 巻頭言

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神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第71号
  2012年12月1日発行

 

 〜銀行と社会が起業家の創造を課題にする時代〜

 

公益財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 高度成長時代には、某銀行の某支店長さんのお陰で、わが社も今日のようになりましたといわれた企業家が沢山おられました。その頃、いわゆるアニマル・スピリットも強く、モノづくりや営業活動の面でもイノベーション能力も高かった企業家が沢山おられました。足りないのは、お金だけでした。そのお金を銀行が貸してあげれば成長できた企業が沢山あったわけです。
 ところが、いま銀行にはお金が余っているのに、投資できる企業がなくなったといわれます。企業自身も長いデフレの中で、出来るだけ借金を減らし、自己資金を増やしてじっと発展の機会を待っている企業か、または、昔のようなアニマル・スピリットもなく、イノベーション能力も失ってしまい、外国の企業との競争に負けてしまっている企業が多くなりつつあります。わが国のモノづくりやサービス提供の企業の停滞・不振の原因はこれ以外にも色々あります。円高や法人税率が高いとか、多くの国とFTAを結んでいる国とは違って、わが国の輸出品の関税率が高いとかいったことの他に、政府規制が多いとかいったことなどがあげられます。
 したがって、銀行が企業にお金を貸せるようになるために克服しなければならない課題は色々あります。しかし、たとえば、輝かしい歴史を誇ったソニーやシャープなどが遅れをとるようになった理由の一つに、かつてのように誰も真似の出来ない新製品を作る能力が低迷し、おまけにかつて日本の企業しか生産できなかった技能発揮分野でも、3Dデジタルの導入によってどこの国でもつくれるようになり、日本の独自性が失われたとともに、営業面でのイノベーションでも遅れをとるようになってしまったためだといわれることがあります。
 もしそうだとしたら、いまの日本経済の低迷、いわゆるデフレ状態を克服するために日本銀行の金融緩和を拡大しても、銀行は投資を増やす機会を見出すことができません。銀行はいまこそ、かつてのように、強力なアニマル・スピリットをもち、人とは違った発想で、できれば人が真似が出来ないモノやサービスを発想し、しかもそのマーケティングの仕方でも独創的に着想しようとする企業家、人づくりをしていかねばなりません。もっとも、これは銀行だけでやりとげられることではありません。モノづくりに必要なエネルギーも資源もないわが国では、社会をあげ、国家をあげて日本を再建する企業家づくり、人づくりに打ち込まなければならないことになりました。
 みなさんは、淡路島と面積はほぼ同じで、日本以上に資源もエネルギーもなく、日本とは違って水さえなかったシンガポールが、この50年間位の間に、一人当たり国民所得でもわが国のそれを超えるようになったことをご存じでしょう。色んな問題をかかえていますが、そこでは、国家予算の3割が教育に当てられていることを私どもは学ばねばなりません。



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