トップページヘ戻る
KIURロゴ

理事長 新野 幸次郎 巻頭言

「理事長 新野 幸次郎 巻頭言」一覧へ

神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第68号
  2012年9月1日発行

 

 〜「プラチナ構想」と高齢者の生き甲斐づくり〜

 

公益財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 8月はじめ淡路で開かれた「アジア太平洋淡路会議」で、東大学長だった小宮山宏さんの「プラチナ構想」のお話をお聞きする機会がありました。そのあと個人的にも色々お話をしました。プラチナ社会とは、「エコで高齢者が参加し、一生を通じて人が成長を続け、雇用がある社会」とされています。ちなみに、その理解のためにはプラチナ構想委員会の「プラチナ構想ハンドブック−高齢化のパワーで世界を変えろ!」(日経BP社)を参照されるとよいと思います。
 周知のように、日本は世界で最初に高齢化社会に到達し、今後その社会をどのように運営できるかが世界中の人々から注目されています。少し前には、ロンドン・エコノミスト誌が、日本の政治・経済の混迷状態を示すために、日章旗の日の丸が下に落ちて白旗に穴が開いた形になった写真を表紙にして、「リーダーのいない日本」を諷刺したことがありました(2012年6月5日号)。しかし、その同じ雑誌が、そのあと、もし日本が世界で最初の高齢化先進国としての運営に成功すれば、21世紀の世界のモデルになるとも注目したところです(2010年11月20日号)。その意味でも、この構想は、まことに有意義な試みです。
 このプラチナ構想を少しでも前進させるために、委員会では発想豊かで、学識の深い大学の先生方をできる限り集め、実践者としての全国の自治体の首長さん方の賛同を得、さらにこの運動を支えるために色々な企業の協力をえるように工夫しています。しかも興味があることは、その最初の重点的な事業として現に各地で展開されているスマート林業をとりあげていることです。わが国の林業はウルグアイラウンド交渉のときに、非農産物として鉱工業製品に分類され、1964年に完全に貿易自由化されました。その結果、丸太や製材品、木材チップ等の関税率は0%になり、流入する安価な輸入木材のために、わが国の林業は完全に崩壊してしまいました。ところが、にも拘わらず、全国10カ所近い地域で、それに対応できるスマート林業が成立し、その成功に地域毎の高齢者を含む住民が大きく貢献しているという訳です。
 わが神戸市でも、いま六甲山を新しい都市資源と見直そうという活動が、多くの企業や高齢者をリーダーとして始まっています。六甲山は急峻で、いわれているスマート林業が簡単に成功するとは思いません。けれども六甲山を保全しようという動きはシルバーカレッジの卒業生をはじめ、多くの高齢者の方々の間でも拡がっています。六甲山でプラチナ構想がそのまま成立するとは思いませんが、新しく市民福祉概念をつくり、市民福祉は、行政と市民と企業とが協働して作りあげるものだとしてきた神戸市民が、これから取り組もうとしている六甲山の保全は、ひとり高齢者だけでなく多くの市民に新しい生き甲斐を見出せる仕事にできる可能性があります。



〒651−0083 神戸市中央区浜辺通5丁目1番14号
神戸商工貿易センタービル18F

TEL 078(252)0984

FAX 078(252)0877

KIURバナー
トップページヘ戻る