トップページヘ戻る
KIURロゴ

理事長 新野 幸次郎 巻頭言

「理事長 新野 幸次郎 巻頭言」一覧へ

神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第66号
  2012年7月1日発行

 

 〜転換期の社会と付和雷同〜

 

公益財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 広辞苑を開くと、付和雷同とは、「自分に一定の見解がなく、ただ他の説にわけもなく賛成すること」と説明されています。世の中の出来ごとというのは、ただ1つの原因からではなく、色々な原因と関係して発生し、変化していて、複雑怪奇です。それを独りで解明し独自の解釈をして、自分特有の一定の見解をつくることなど大変難しいものです。そんなこともあって、多くのことについて、私たちは付和雷同して済ますのを避けることが出来ません。
 世の中が安定していて、その変化も穏やかなときには、そこに住む人々が付和雷同していてもあまり心配しなくてもよいかもしれません。ところが、今日のように、自分たちの住んでいる国の中だけでなく、それを取り囲む世界中の国々が色々な問題を投げかけているときには、それではすまされません。私たちが、付和雷同しているととんでもないことが起こりかねません。
 しかし、そうは言っても、はじめに申しましたようにどうすればよいのかについて自信のある確実な認識をもつことも困難です。こんな時は付和雷同から遁れる1つの方法を試してみることは有意義です。それは、何よりも自分が思いこんでいた考え方とは違った考え方や言い方をしている議論をできる限り集めてみて、自分の考えていたことで他の人のそれとどこが違っているのか、自分の考え方の中に、そういう違った考え方は消化されているのかいないのか、こなされているのかいないのか、を追求してみることです。
 これを続けていますと、まず、同じ問題についてどれだけ違った考え方があるかが判るだけでなく、自分の考え方の特徴、あるいは、限界を理解することが出来るようになります。
 この世の中の議論は、多かれ少なかれ、発言している人の個人的な想いを説得するために行われています。かつてニューヨーク・タイムズ紙の有名な記者が、どの新聞記者も自分のもっている固定観念から記事を書いてゆくのだから読者は注意して読んで下さいと言ったことがあります。新聞はもちろん、テレビの解説でもみなそうなっているのです。世の中の出来事には裏も表もありきわめて多面的です。目が見えない人が象の色んなところを触って象はこんなものだと言う話がありますが、一人の人の話を一方的に信じてはいけません。世の中が大きく変化しようとしているとき、私たちは、付和雷同しないで、せめて自分の考えの限界を考えながら議論してゆくようにしてゆくことが望まれます。



〒651−0083 神戸市中央区浜辺通5丁目1番14号
神戸商工貿易センタービル18F

TEL 078(252)0984

FAX 078(252)0877

KIURバナー
トップページヘ戻る