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理事長 新野 幸次郎 巻頭言

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神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第63号
  2012年4月1日発行

 

 〜高齢社会での高齢者の役割〜

 

公益財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 19歳で軍隊入隊の召集令状を受けとったとき、多くの青年と同じく私も自分の生命は間もなく終結すると覚悟し本当はよく判っていないのに「生死一如」などという言葉を空念佛のように唱えていたものです。その私が、今年米寿を迎えることになりました。高齢者というのは今の分類では、65歳以上、後期高齢者は75歳以上ということになっていますから、私も大変な高齢者になるほど生き残ったわけです。
 日本の年齢別人口構成は、1950年には、低年齢の人が一番多く、年齢が進むに従って構成比率が段々少なくなる三角形のようになっていました。ところが、2005年には59歳当たりの人達が一番多くなり、2055年にはさらに80歳の人達が一番多くなって、逆に若い年齢の人達の比率が逆に段々少なくなり、西洋の凧のような形になると予想されるようになりました。
 私たちは、今迄、高齢者は一所懸命働いて、経験も見識も豊かになった人達であるから、大切にしなければならないと言ってきました。しかし、こんな高齢社会になりますと、だからみなで高齢者を支えてほしいと言ってはおれなくなりました。高齢者が、総人口で大きな構成比率を占めるようになりますから、高齢者も社会の重要な構成員として社会存立のためにそれなりに重要な役割を担わなければならなくなったわけです。
 このことの必要性と妥当性は、家族生活の中ではっきりしています。愛と共助の世界になっている家族生活では、子供たちが大きくなると両親や祖父母を支え、そのために誠心誠意努めるのは当然になっていますが、高齢者になった人達もただ皆の世話になるだけでなく全力をあげてその役割を果たす努力をしているはずです。これと同じことが、社会全体でも行えるようにならなければなりません。
 病床に就かねばならない人、働く能力を失った人は、社会全体でサポートして行かねばなりませんが、健康でその能力を生かせる余地のある人々は、社会的に必要な色々な部門で、有給あるいはボランタリーにその力を生かすようにしなければなりません。そう言えば、この10数年前から既に高齢者のボランタリーな活動は急激に増えています。しかし、社会の中でその受け入体制は十分に出来上がっているとはいえません。特に、その秀れた諸能力を積極的に生かすための工夫は、大きく不足しています。わが国の内ではそれが出来ていないものですから、産業によっては、その能力を外国で発揮せざるをえなくなっている分野もあります。かつて、ロンドン・エコノミスト誌は、日本が世界の中で最も早く高齢社会になること、しかも、近くすべての国で同じように高齢化が進展するのですから、日本の高齢対策のいかんは世界のモデルになるといって特集を組んだことがあります。私たちは視野を拡げて、高齢者が生き生きと働き、生活できる新しい分野を開拓し、高齢化する世界各国のモデル建設に先頭をきって進まなければなりません。



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