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理事長 新野 幸次郎 巻頭言

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神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第62号
  2012年3月1日発行

 

 〜薬の開発とこれからの医療と福祉の夢〜

 

財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 最近新薬品の開発は目ざましい。パーキンソン病にしても、認知症にしても、新しい薬品の利用によって従来は考えられなかった治療効果が生まれつつあります。
 このことに関連して、私は最近、ある大病院の私が尊敬している院長先生とお話をしていて一つの夢を抱くことになりました。私が「もしこうして色々な分野で実効のある薬が開発されるようになると、病院の治療もうんと変わることになりそうですね」とお尋ねすると、その院長先生は「そうです。こうしてもしどんどん実効のある薬がふえると手術は大きく減少するでしょうし、医学全体としても本来外科が不必要になる治療の実現を目指しているのです」と仰しゃいました。そこで私はさらに「もしそうなれば、患者の入院数は減り、大病院や診療所の役割も大きく変えることが考えられます。患者はより多く自宅で療養することにもなり、かつてのように近所の診療所のお医者さんが患者の家に出向いて診療に当たるようになることも考えられますが」と申しますと、院長先生は「そうです。現在のように、住居と診療所とを別にして生活するという状態ではいけなくなるでしょう。それと同様に、いまのような核家族ではなく、少なくとも二世代が一所に生活する体制か、もしくは、北欧のように新しい社会的介護体制が確立されていなければ、うまく運用できなくなるでしょう」とも言われました。
 いうまでもなく、これは大変な変化です。いつになれば、本当にそうなるのかは判りませんが、もしそうなれば、患者の多くは自宅で生活していて、宗教や人間性についての考え方の違いもあってそう簡単ではないと思いますが、点滴でただ寿命を延ばすことを止めているデンマークのようになることも考えられます。
 そうなれば、国全体の医療費も大きく変化します。国立社会保障・人口問題研究所の事例では、いまのままですと、2010年の医療費は37.5兆円だが、2025年には、52.3兆円、2035年には、10年の1.7倍の65兆円に達するといわれています。しかし、もし上述のような激変が起きると、医療費も大きく減少すると予想されます。技術進歩は社会を変革するといわれますが、薬の開発・進歩はこうして社会の在り方や市民福祉のあり方に抜本的な革命を齎(もたら)すかもしれません。上述のように少子高齢化社会では毎年一兆円余の福祉費の増大を考えなければならないといわれる今日、薬品開発とそのための科学技術の変革はその革新の担い手になりそうです。



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