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理事長 新野 幸次郎 巻頭言

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神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第52号
  2011年5月1日発行

 

 〜東日本大震災に思うこと(その2)〜
    ―「一億一心」の条件―

 

財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 今回の大震災と16年前の阪神・淡路大震災との違いは、震度と死者数と全・半壊家屋数などの他、18.3mにまで達した大津波と原子力発電所の事故などで説明されています。死者・行方不明者は阪神・淡路のときの4倍強で、直接被害額も3倍強だといわれる大震災です。
 しかし、その割には、まだ救援にかけつけられているボランティアの人々の数も、義援金の総額も少ないのではないかといわれています。災害救助ボランティア活動も珍しくなくなってジャーナリズムで報道されなくなったからというのもあるかもしれません。それ以外にも、今回の大震災の特徴というか、悲惨さが十分に理解されていないことにもよるのではないかと考えられます。すなわち、死者・行方不明者は総数では、阪神・淡路のときの4.5倍ほどですが、当初の行方不明者だけで比較すると、4,600倍をこえるという数字になります。しかも、その遺体は、1ヶ月以上経った今でも僅かずつしか発見できていません。大津波によって流されてしまったのです。家族を失われた皆さんの悲しみは想像を絶します。地震だけなら、焼けてしまわない限り、すべてのものは、その場に残っています。しかし、今回は大津波のため何もかもなくなってしまいました。
 さらに、大津波は、農地を塩害化し、多くの漁港を破壊しおまけに沢山の漁船を喪失してしまい、約5万人の方々が、家業としての農業や漁業ができなくなったといわれます。企業に雇用されていた人の多かった阪神・淡路のときとは、決定的な違いです。大津波で亡くなられた人に高齢者が多いといわれますが、家業ができなくなり、明日の希望をもてなくなった人々にも高齢者が多いのです。しかも、被災地は、阪神・淡路のときとは違って、500kmの広範囲に亘り、避難所の数も4倍近く多く、しかも、そこに集まっている方々の数も格段の差があり、交通途絶の関係もあって救援状態には大変なバラツキが報ぜられています。政府の復興構想会議はまずこの窮状を体系的に把握し、この状態を救うための政策の策定を構想することから始めるべきでしょう。おまけに、原発事故によって強制的に退避を命ぜられた方々は、生計をたてる拠点からさえ立ちのくよう強要されているのです。
 かつて、毛利元就は、吉田郡山城の工事の際の人柱に替わるものとして建てた石碑に「百万一心」という言葉を刻んだといわれていますが、今回の東日本大震災に苦しんでいる人々を救援するためには、全国民がそれこそ「一億一心」になって当たらねばなりません。私は先月のこの欄で、そのためには、この事態の克服に当たられる方々が身を挺してその生活態度まで改めてゆかねばいけないのではないかといいました。リーダーの基本的役割は目標達成に望ましい雰囲気を醸成し、集団を導き、人々の心を動かし、人々の情熱に火をつけ、最高の力をひき出すことにあるといわれます。残念ながら、いまわが国の政治家の皆さんは党利党略と、我執に捉われてリーダーの役割を果たしていません。これではとても「一億一心」にはなれません。



 

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