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理事長 新野 幸次郎 巻頭言

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神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第50号
  2011年3月1日発行

 

 〜人口ノーマスと社会福祉〜

 

財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 最近ロンドン・エノコミスト誌が「日本の重荷」という題の巻頭論文とそれに関連した特集を発刊しました。わが国の人口構成はご承知のように1950年頃には、若年層が多く、高齢者が少ない完全にピラミッド型の人口構成になっていました。ところが、2055年には、80歳の人々が年齢別構成では一番多く、以下年齢の若い人たちの数が減少してゆく西洋風の凧型に変わります。同誌はそれに注目して日本が世界で一番早く高齢社会になることから起こる諸問題をとりあげたのです。
 ところで、第2次世界大戦が終るまで、わが国には社会保障、社会福祉といった政策はありませんでした。ちなみに、1950年でも65歳以上の人が総人口に占める比率は4.9%に止まっていました。国民皆年金、皆医療保険制度が生まれたのは1961年ですが、その当時でもいわゆる高齢者率は6%をきる水準でした。当時制定された社会福祉の諸制度は、そういう状態で、しかも、世界に冠たる高度成長の中で作りあげられました。
 ところが、そのあとが大変です。わが国の高齢化率は世界で例のない速度で上昇しました。高齢化率が7%から14%に達するまでに、フランスは115年、スウェーデンは85年、イタリアは61年、イギリスでも47年かかっているのに、わが国は僅か24年で到達しました。社会福祉先進国といわれているスウェーデンが7%になったのが1887年(明治20年)、14%になったのが1972年なのに対して、わが国が7%に達したのが1970年だったことを想うと、わが国の高齢化がいかに急速に進んだかが判ります。この段階で、したがってわが国は、社会福祉のあり方、そのための福祉施設のつくり方とその運営について根本的な改革をしておかねばならなかった訳です。
 しかも、人口が増加し、生産年齢人口(15歳から64歳までの人口)が増えているときは、どこの国でもそれにある一定比率をかけた経済成長をするというので、従来から経済成長には人口増加はボーナス効果をもつといわれてきました。ところが、わが国では、すでに1990年にこのボーナス期が終わって、2004年をピークに既に人口総数の減少がはじまっています。そうなると、減少する人口は逆に経済成長を減退させ、ボーナスではなくて、国の経済運営のノーマス(重荷)になってくるといわれています。
 人口ボーナスの時期の終わりは、そのうち、各国にもおとずれます。先進国は殆どすべて既にその状態にありますが、中国でも2015年、インドでも2035年には終期を迎えると予測されています。もし、そうだとしますと、エコノミスト誌が述べていますように、もしわが国がこの問題の解決に先駆的な役割を果たすことが出来ると、この問題についての世界のリーダーシップをとることが出来ます。しかし、残念なことに「リーダーのいない日本」と同じエコノミスト誌に言われた今の日本の政治動向では、それを期待することは出来ないようでもあります。



 

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