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理事長 新野 幸次郎 巻頭言

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神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第46号
  2010年11月1日発行

 

 〜 寄付金が税控除になることの意味 〜

 

財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 最近、米国のビル・ゲイツさんなどが、資産家40人ほどに資産の半分を米国の貧困な人々の教育や世界の不治と言われる病気の治療などのために役立てようと呼びかけたとある新聞で報ぜられました。驚くなかれその額は日本円で50兆円ぐらいになるだろうといわれます。米国にはそれほど豊かな人がいることもびっくりしますが、しかし、米国はこうした寄附やボランタリー活動の多いことでは、世界でも群を抜いている国であることは皆さんご存知と思います。
 わが国でも近年、新しい公共づくりのために皆さんに寄附を呼びかける動きが強くなってきました。福祉関係や学校などのほか、特定公益法人として認められていた団体などに寄附をすると、個人についても所得税の対象になる所得から一定額(個人の場合は今迄1万円でしたが、最近は5千円になりました)以上の分だけは控除されることになっています。これは皆さんに寄附を多少とも奨励しようという制度になっていることを意味します。
 ところが、米国では、この種の寄附は、所得控除ではなく、所得税控除の対象になっています。これは、課税対象となる所得から額を控除し、所得税額がその分だけ少なくなるのとは違って、所得税から額を控除するのですから、支払うことになる所得税額の絶対額そのものが減額されることになります。しかし、これは、ただ支払うことになる額の違いだけの問題ではありません。
 米国では、所得は各人が一所懸命努力して稼いだもので、それを税として政府および公共団体に納めその支出の仕方も委任するか、または、自分が必要または大切と考える公共的活動団体に直接寄附するかは所得を稼いだ自分で決めるべきだいう考え方が基本になっていることを意味します。これは、多くの私たち日本人が考えてもみなかった考え方です。そしてこの考え方の基底には、自分のことは自分でやる、国や地方自治体や自分の属している組織には自分ではどうしても出来ないことを補完して貰うだけだといういわゆる補完性の原理が働いています。この補完性の原理はわが国でもそれを確認することの必要性が主張されるようになりましたが、この原理を確立するためには、私たちは政府や地方自治体などについての考え方を根本的に変えて行かねばなりません。私はこの最初にビル・ゲイツさんなどの寄附の話をとりあげましたが、の税制上のあり方と並んで社会の中での意義についても、あらためて考え直してみることが望まれる時代になりました。



 

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