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理事長 新野 幸次郎 巻頭言


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神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第43号
  2010年8月1日発行

 

 〜 六甲山をみんなの山にする工夫(その3) 〜

 

財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 六甲山について2回に亘ってふれてきたご縁で色々なところから教えを受けることが出来ました。兵庫県 県土整備部からは「六甲山系グリーンベルト整備事業」のことも詳しくご説明頂きました。これは従来のようにコンクリートを主体とした施設整備ではなく、良好な樹林による面的整備で土砂災害を防止しようとするもので、大震災を契機としてはじめられ、県と国とくに圧倒的に国によって進められた山間部の公有化でした。注目してよいのは、このグリーンベルトの一部で、15の企業と地元住民22団体が、どんぐりの育成・植樹・間伐・下草刈等の仕事を分担して頂いていることです。
 そう言えば、市民の発案で六甲山を守ろうという試みは、他にも色々有ることが判りました。平成10年頃から数年に亘って、神戸経済同友会が「六甲山に公共下水道」を作ろうと働きかけられたのもその一つです。残念ながらこの企ては実現できませんでしたが、この運動は、経済至上主義を脱却し、貴重な都市財産としてこの六甲山を守り、市民の潤いや癒し、健康のために生かそうという貴重な試みでした。
 神戸市建設局の公園砂防部からは、六甲山の規制とか、土地所有関係、市の分担作業などについても詳しく教えて頂きました、なかでも注目したのは、神戸市域の六甲山系約11,000haのうち、市有林2,300ha、国有林100ha、民有林7,520haなどという土地所有関係です。私は最初に、昭和4年に植樹した神戸大学の樹木が大きくなりすぎて、昭和52年頃に間伐したことを申しました。しかし、植樹、100年を超えるようになった六甲山の樹木は、各所有者が本当に親身になって下草刈をしたり、間伐したりする面倒をみているかというと、「みんなのものは誰のものでもない」という受け止め方で放置されていると言っても間違いではありません。私たちは、神戸を象徴し、美しい神戸を形成している六甲山を今迄、砂防、観光を中心とする対象としてしか考えていませんでした。
 六甲山には、在神外国人によって発見された登山道が、無数にあり、今でも毎日数千人の人が登山会を作って楽しんでいるといわれます。この六甲山のような山を市内に抱える都市は日本には他にはありません。この六甲山を文字通り、自分達の庭として、そこに植えている樹林を管理・保全し、そこでの生活を楽しむことが出来るようになれば、従来のように、砂防や観光だけで六甲山に向きあってきたのとは、根本的に異なった六甲山にすることが出来ます。
 考えてみれば、わが国は国土面積の7割近くを山林部として持つ、世界でも珍しい国ですが、山林保全のための配慮は悲しいほど希少です。この危機克服のために、神戸市で、六甲山全域を従来のような縦割り体制で管理するのではなく、統括的に管理する責任者を置いて素晴らしい山林経営都市にすることが望まれます。また、この機会に六甲山をみんなの山にするために何よりも六甲山が、子供達に愛される山になる工夫をすることを着想しなければなりません。



 

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