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理事長 新野 幸次郎 巻頭言

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神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第33号
  2009年10月1日発行

 

 〜 信頼を導出する透明性 〜

 

財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 最近、すべての社会的組織の透明性が問われるようになってきました。その原因の一つは、どんな組織内でも内部告発が従来とは違って、正当なこととされるようになり、かりに不都合なことがあってもそれを隠しておくことが出来なくなったことによります。またもう1つは、すべての社会的組織の利害関係者がそれを自分のものと考えられるようになり、その内実について透明であることを要求するようになってきたからです。第一の条件は、いわば組織情報の供給構造が変化しことを、また第二の条件は、組織情報の需要構造が変わったことを意味しています。
 かつて、一橋大学の伊丹敬之教授が「制度・慣行=原理×環境」という恒等式をとりあげられたことがあります。これは世の中の諸組織をとり囲む環境は不断に変化していますから、その組織が存続・発展するためには、制度・慣行を変えるか、または、原理そのものを変えるかをして行かなければならないことを示しています。その意味では、最近の組織情報についての供給・需要の構造変化は、組織存立の大きな環境変化を意味します。
 ことに、よくとりあげられるように、ITの発展と普及とは情報伝達のスピードと拡がりを急速に変えて行きますから組織情報についての従来の考え方や、制度・慣行を急いで変えて行くことが望まれます。
 そう言えば、ある組織の長だった人は、情報を非公開にしておくと、不祥事や資金の無駄使いが横行するようになると警告しておられました。こうした不祥事の続出は組織情報公開への要請を強める、それに対応するためには、従来の情報非公開原理を根本的に変えなければならなくなります。
 しかし、ここで大きな問題が残ります。一旦不祥事が起こってしまうと、あとから情報公開をしてもその組織への不信感をとり戻すことがきわめて困難になるということがそれです。その点、情報公開が比較的徹底している組織、すなわち、変な言い方ですが裸でいても信頼感を維持することが出来る家族関係のことを考えてみることは有意義です。家族の場合でもその構成員の全情報が必ずしも完全に公開されているという訳ではありません。しかし人と人とが構成している社会組織のなかで、家族というのが、最も情報透明度が高い組織であることは多くの方々が認めていることです。しかし家族相互の信頼感は、いうまでもなくたんに情報が公開されているから生れているのではありません。家族の信頼感は、何よりもお互いが全構成員のことを思いやり、そのために自分を犠牲にしてでも尽くそうという気持ちが働いていることから生れているのです。その気持ちとそれに伴う行動に支えられていない情報公開と透明性の追求では、組織構成員の信頼を得ることはできません。これは情報公開に当たって何よりも留意すべきことであります。



 

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