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理事長 新野 幸次郎 巻頭言

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神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第30号
  2009年7月1日発行

 

 〜 危機管理問題としての新型インフルエンザ 〜

 

財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 「日本人は原子爆弾の被害を世界で最初に受けることになった国民です。その悲惨さをアピールする日本人、核戦争絶滅を訴える日本人の叫びを私たちは自分の問題として受けとめなければなりません。」世界の中には、こう言われる人も多い。しかし、そんな方々の中に、こうも言われる人もあります。「私たちは、核戦争が起こったときのことを考えて、シェルターをあちこちにつくって避難生活の準備をしているのに、日本にはそれがありません。日本人は核反対を叫んでおれば無事に過ごせると思っているのでしょうか。私たちにはそれが判りません」と。
 そう言われれば、私たちは、不測の出来事が引き起こすかもしれない危険な状態について十分な対応準備をしてない国民といわれても仕方がない面があることを認めざるをえません。私たちは十四年前の大震災で水がいかに大切なものかを身をもって痛感しました。しかしアラブの人達とは違って、水はいつでもあるのものとして考えてきました。何時騒乱が起こるかも知れない国では、身につけて逃げられる貴金属だけが唯一貴重な財産保有の対象になりました。それどころではありません。いつ国外追放の身にさらされるか判らなかったユダヤの人達は、山本七平さんが、かって力説されたように、モノをもっていてはすべて奪われてしまいます。したがって、生命のある限り誰も奪うことができないものを身につけることに懸命な努力をしてきました。学問や技術力がそれです。その点、わが国は、歴史的にみて恵まれていました。寺田寅彦さんが言われたように、地震をはじめ、色々な自然災害には襲われていましたが、元寇の乱と太平洋戦争の時以外は外国人の来襲を受けることはありませんでした。その点、私たちは自然災害は別として、世界の多くの人達のように社会災害に対して十分な備えをしている国民とはいえないかもしれません。
 そう言えば、今度の新型インフルエンザについてもそうです。識者の説明によると、今回のインフルエンザは既に3月段階でメキシコで問題となり、米国でも4月後半には紹介されていました。また米国や欧州では発病者のほとんどが軽傷者であったことから、新型インフルエンザの高病原性がないことが判っていました。ところが、世界的に流行しはじめたことから、WHOは、フェイズ5に引き上げました。フェイズ5で各国が用意していた行動計画は、高病原性のインフルエンザでしたから、準備のなかった日本では大慌てで対応したということのようです。
 私たちは、今回の騒動をもとにして、これからは適正な対策を考えねばなりません。その一つは、インフルエンザ対策を「お上」の仕事とするのではなく、私たち市民協働の仕事として準備してゆくことです。そういえば、欧米では、高病原性のインフルエンザに備えて色々な地域住民の準備がはじまっています。私たちも、危機管理の必要性をあらためて真剣に考えて新型インフルエンザに備えなければなりません。



 

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