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理事長 新野 幸次郎 巻頭言


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神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第29号
  2009年6月1日発行

 

 〜 新型インフルエンザの教訓 〜

 

財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 このところ神戸は試されています。世界でも例のなかった14年前の大都市直下型地震だけでありません。今度は国内発の最初の新型インフルエンザの大量発生地になりました。広報課長の話によるとあの発生の日は徹夜の対応を迫られたようです。聞いてみると悪性インフルエンザ対応のマニュアルは以前から出来ており、大震災を体験していた神戸市は即座に対応をはじめました。神戸市はいわゆる保健所設置市ですから、こういう患者が発生したときは直接国と連絡をとり、その指示に従って行動することになっています。
 しかし、その指示を待っていては対応が遅くなるので、学校の閉鎖など応急の措置はすぐとれるように準備を進めていたようです。しかし、国の決定は対強毒性インフルエンザ的な措置となり、感染の発生した神戸はまるで強毒性インフルエンザの蔓延地のように受けとめられるようになってしまいました。休校を命ぜられた大学から幼稚園・保育所まで、学生・生徒・児童たちはもちろんすべての関係者に不安感が拡がりました。それだけではありません。学会や修学旅行は全部キャンセルになり、その人達を受け入れる準備をしていたホテルや交通機関もすべてその被害を受けました。中でも一万数千人の参加が予定されていたある医学会の開催延期だけでも、市内ホテルやレストランやタクシーなどを中心に深刻な影響を与えることになりました。
 弱毒性で、退院して正常化する人が増加する一方、感染者の増加率が減少するようになるとともに、被災各地から国への各種の陳情が集中するようになりました。今回のことで神戸市でも考えなければならないことが数多く自覚されることになり、私はあらためて市の関係者の方々に、大震災時同様に、今回の市当局や諸団体の活動を検証し、その結果にもとづいて、危機管理に疎いわが国のために、警鐘を鳴らすべきではないかと申し上げています。これに関連して、神戸市でも関係者の何人かが以前に読んでいたNHK出版の『最強ウイルスー新型インフルエンザの恐怖―』(平成20年5月刊)は示唆的です。その中では、大規模化する強毒性インフルエンザの場合の「トリアージ」(患者数が多すぎる一方、医師や薬品や施設が不足する時、診療をする人々を年齢その他で順序づける方式)のことまで紹介されています。このトリアージなどは、問題が起こってから討論するのでは大混乱を巻き起こすだけです。リスクが発生する前に時間をかけて、みんなで討論をし、納得しておかねばなりません。これが、最も象徴的ですが、今回の新型インフルエンザは、私たちに危機管理についての私たちの対応の仕方に根本的な反省を迫ることになりました。



 

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