トップページヘ戻る
KIURロゴ

理事長 新野 幸次郎 巻頭言

「理事長 新野 幸次郎 巻頭言」一覧へ

神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第27号
  2009年4月1日発行

 

 〜 人を幸せにする企業と公共団体 〜

 

財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 企業といえば、利潤をあげることを目的とした組織だと考えられてきました。それもあって、株主や経営者は、売上高や利潤が増大し、株式の時価総額が増大する企業を「良い企業」だといってきました。
 ところが、つい最近、NHKTVの「ルソンの壷」に出演された伊那食品工業の塚越寛会長は言われます。会社ですから、売上げが伸びたり、利益がないとその存続は危うくなります。しかし、それを目的とすると、ともすれば人件費や福利厚生費やメセナ活動などが減らされ、社員の幸せが二の次にされがちになります。これでは本末転倒で、会社は「社員を幸せにするためにあり、そのことを通じて『良い会社』ではなく、『いい会社』をつくり、地域や社会に貢献する」のだといわれるのです。塚越さんは、この2月にも「リストラなしの『年輪経営』」(光文社刊)という本も出版されました。途轍もない考えのようですが、それを念願して経営にあたられたこの会社は、この五十年近く連続して増収・増益の業績をあげてこられたのです。
 その秘密は、色々あって、とてもこの短い文章では説明し尽せません。しかし、そのうちいくつかをあげてみると、その基本は、二宮尊徳の「遠きをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す」を理念とし、社員が「前より幸せになった」と実感できるようにしてきたことにあるといわれます。この会社ではそれもあって最大の効率化は幸せ感が生むモチベーションだとされ、その幸せ感に基づいた社員のパワーで、例えばこの会社のトイレは一滴のしずくも落ちていないほど清掃され、人に迷惑をかけず、人から感謝される社員づくりに打ち込んでこられたようです。また、人件費はコストではなく、みんなで一所懸命に働いて、より多くの報酬を得て幸せになるという会社の目的の一つと考えるというのも注目されます。
 塚越さんのこういうご主張をTVで聞き、またさきにあげた本で熟読しながら、私はこのご意見は、ひとりバブルに踊ったり、不況に悩んだりしていらっしゃる企業経営者の人たちだけではなく、公共事業体のすべての職員の人たちにも一度考えてみて貰ったらと思うようになりました。
 公共事業体が、その本来の役割を果たすためには、住民が幸せになることが前提とされます。そのためには、しかし、それを担うすべての職員が幸せ感をもって働けるようになっていかなければなりません。私はこの機会に、この目的を達成するために、公共事業体はいま何を課題としてとりあげ、実践して行かねばならないかを、皆さんとご一緒に考えてみたいと思っています。



 

6510083 神戸市中央区浜辺通5丁目114
神戸商工貿易センタービル18

TEL 078(252)0984

FAX 078(252)0877

KIURバナー
トップページヘ戻る