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理事長 新野 幸次郎 巻頭言

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神戸都市問題研究所メールマガジン「マンスリーレポート」 第22号
  2008年11月4日発行

 

 〜 ブレアの「ステイクホールダー福祉」の示唆すること 〜

 

財団法人神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎

 
 英国がかつて福祉国家と呼ばれたことは皆様ご存知の通りです。あれは1942年の有名なベヴァリッジ報告に基づいてつくりあげられた制度でした。ところが相次ぐ経済的困難の中でサッチャーは「反福祉政策」をとることになりました。その結果、例えばサッチャー政権登場以来5年間で、所得扶助を受ける人だけでも3倍に増えることになり、医療費も大幅に削減されました。それもあってブレアが首相になった時、一部の医師が海外に流出したりしたことも加わって、医師不足となり、入院待機患者が急増していたといわれています(いまの日本を連想させます)。ブレアはそのため、当初から5年で総医療費を5割増やすとともに、10年間では2倍にし、医師の数も5割増やすことを宣言したほどです。それだけではありません。当時、失業者も多く、学校卒業後一度も働いていない人が100万人もいたといわれ、福祉対策費用は増大する一方でした。そんなこともあって、ブレアは、今迄言われたこともなかった「ステイクホールダー福祉」という方策を提案し、実行してきました。従来、ご承知のように福祉といえば、色々な意味で困窮した人々に、国や地方公共団体が一方的に「措置」するものと考えられがちでした。ところが、ブレアは、福祉はその困窮した人自身も、裕福な人も、行政も企業も、すなわち、その利害関係者(ステイクホールダー)が一体となって実現すべきものと考えました。中でも、働けるのに働かないでいる人達に対しては、仕事またはトレイニングの機会を与え、とくに16〜17歳の青少年には適切な資格取得を保障するなど、すべての福祉受給者に対する就業の奨励をはじめました。神戸でもハンディキャップをもった人が、所得税を払えるような能力と機会を保障しようと頑張っておられる竹中ナミさんのような方がおられますが、ブレアはそれを国レベルですべての人々に実現しようと意図したわけです。
 人間の幸福は、考えてみれば、他人から与えられるものではありません。すべての人たちが、こうして自分で幸福をかちとれるような仕組みをつくってゆくことが望まれます。ブレアのステイクホールダー福祉は、そのための一つの試みでありました。



 

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